貴方の事を奪いに来たの。
「あっ、百合。おかえりー。」
「ただいま。」
「どうだった?」
日菜子の言葉の意味は、龍之介くんとどうだった?
と言う意味を汲み取ったあたしは、
ちゃんと話せたよ、と笑顔で言った。
「本当⁉︎じゃぁ、連絡先聞いた⁉︎」
「え…?聞いてないよ?」
「はぁ⁉︎何でよ!」
日菜子は凄い形相であたしに詰め寄る。
その凄い形相のまま、じゃぁこれからどうすんのよ⁉︎、と言ってきたので、
「たまに顔出すつもりだから、ゆっくり考えていくよ。」
「…それでいいの?」
「うん、これでいいの。」
あたしが笑顔で言った為、それ以上日菜子は何も言ってこなかった。
高校に入った時は、こんなにも誰かを好きになるなんて想像していなかった。
これからどうなるか分からないけど、
龍之介くんの事を好きになれて良かった。
そう思いながらあたしは今日、高校を卒業したーーー。