貴方の事を奪いに来たの。


「あっ、百合。おかえりー。」

「ただいま。」

「どうだった?」








日菜子の言葉の意味は、龍之介くんとどうだった?

と言う意味を汲み取ったあたしは、

ちゃんと話せたよ、と笑顔で言った。







「本当⁉︎じゃぁ、連絡先聞いた⁉︎」

「え…?聞いてないよ?」

「はぁ⁉︎何でよ!」







日菜子は凄い形相であたしに詰め寄る。

その凄い形相のまま、じゃぁこれからどうすんのよ⁉︎、と言ってきたので、






「たまに顔出すつもりだから、ゆっくり考えていくよ。」

「…それでいいの?」

「うん、これでいいの。」







あたしが笑顔で言った為、それ以上日菜子は何も言ってこなかった。



高校に入った時は、こんなにも誰かを好きになるなんて想像していなかった。

これからどうなるか分からないけど、

龍之介くんの事を好きになれて良かった。

そう思いながらあたしは今日、高校を卒業したーーー。






< 96 / 128 >

この作品をシェア

pagetop