ラグタイム2号店
「な、何だよ…」

藪からスティック…いや、藪から棒に何を言っているんだ?

「声のトーンがいつもと違うから、もしかしたら彼女ができたのかなって」

夕貴は言った。

俺の頭の中に浮かんだのは静絵だった。

「いや、そんなことはないから」

俺は首を横に振って答えた。

「何だ、つまんないの」

「つまんなくて結構だよ。

明日も早いんだ、俺はもう寝るぞ」

「ああ、そう。

じゃあ、おやすみー」

「おやすみ」

夕貴が電話を切ったことを確認すると、俺はスマートフォンを耳から離した。
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