ラグタイム2号店
クリスマス、正月、バレンタインデーなどの恋人同士のイベントは全て静絵と過ごした。

近いうちに、静絵の家族にあいさつをしに行こうと思っていた。

静絵が大学を卒業したら結婚をすることを考えていた。

だけど、現実と理想は大きく違っていた。

それが起こったのは、本当に突然のことだった。


静絵が大学を卒業するまで後1年を迎えた春のことだった。

「朝貴さん!」

いつものように営業を終え、いつものように掃除をしていたら、静絵が駆け込むように店内に入ってきた。

「どうした?

何かあったのか?」

ただごとではなさそうな静絵の様子に、俺はほうきを壁に置いた。

目の前にいる静絵は、今にも泣きそうな顔をしていた。
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