君の名を唄う
悲しみよりも、憎しみの方が強かった。
何をしても、どこにいても、
なぜ両親が隣にいないのか、
当時の私には理解できなかった。
そんな私を見かねて、おばあちゃんが連れて行ってくれたのはあるバンドのライブだった。
とても人気で、チケットをとるのも困難なのに……。
そのとき体験した生の音に、私は強く感動した。
「すごい…!」
決して生活に余裕があると言えなかった私は、おばあちゃんにギターが欲しいとも言い出せず。
自然と、声で音楽をつくることに夢中になっていった。