プリテンダー
えっ?なんだそれ?

2年も付き合っておいてそれを言う?

「あっそう…。だったらもっと早くそう言えば良かったんじゃん。」

「私だけが悪いって言いたいの?章悟は私が望むような事してくれた?料理もデートも記念日もセックスも、何もかもがいつも地味だった。もっとドキドキする恋したいって思っちゃいけない?」

美玖は自分の事は棚に上げて開き直った。

僕との事をうやむやにして他の男とやってたくせに、なんでそんな事が言えるんだ?

なんかもうどうでもいいや。

好きだと思ってたのは僕だけだったって事か。

「ハイハイ、悪かったな、地味でつまらない男に2年も付き合わせて。これ以上話すのもバカらしいわ。今すぐ別れてやるよ。」

僕を好きでない相手に、みっともなくすがったりなんかしない。

お望み通り別れてやる。

ここまで言われて未練なんてあるわけがない。

ただほんの少し、美玖を本気で好きだった気持ちを押し込めた胸が痛む。


そう、それだけだ。






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