プリテンダー
イチキの御曹司との結婚を回避するために、杏さんが僕を婚約者に仕立て上げた事を話すと、ばあちゃんは妙に納得した様子でうなずいた。
「穂高さんと結婚ねぇ…。誰が決めたの?」
「杏さんのお祖父様。」
「お祖父様ね…。」
ばあちゃんは大福を口に入れながら眉間にシワを寄せた。
「私はてっきり、杏お嬢さんと章悟はいい仲なんだと思ってたんだけど。」
「ホントにそうなら良かったんだけど…。」
「章悟は杏お嬢さんが好きだったの?」
「……うん…。でも言えなかった。僕と杏さんとでは住む世界が違うし。」
「家柄とか貧富の差で相手を選ぶなんてイヤな話ね。」
ばあちゃんは空いた湯飲みにお茶を注ぎ、ため息をついた。
「いくらお金持ちでも、やっぱり人柄は大事よ?穂高さんは昔から計算高いというか、ちょっと悪知恵の働く人だったから。あまりおすすめはできないね。」
「そうなんだ…。例えば?」
「あの人は小さい頃から、自分がお金持ちだって自覚があったから。幼稚園の時に、自分以外の子と杏お嬢さんが仲良くしないようにしたりしてね。」
「穂高さんと結婚ねぇ…。誰が決めたの?」
「杏さんのお祖父様。」
「お祖父様ね…。」
ばあちゃんは大福を口に入れながら眉間にシワを寄せた。
「私はてっきり、杏お嬢さんと章悟はいい仲なんだと思ってたんだけど。」
「ホントにそうなら良かったんだけど…。」
「章悟は杏お嬢さんが好きだったの?」
「……うん…。でも言えなかった。僕と杏さんとでは住む世界が違うし。」
「家柄とか貧富の差で相手を選ぶなんてイヤな話ね。」
ばあちゃんは空いた湯飲みにお茶を注ぎ、ため息をついた。
「いくらお金持ちでも、やっぱり人柄は大事よ?穂高さんは昔から計算高いというか、ちょっと悪知恵の働く人だったから。あまりおすすめはできないね。」
「そうなんだ…。例えば?」
「あの人は小さい頃から、自分がお金持ちだって自覚があったから。幼稚園の時に、自分以外の子と杏お嬢さんが仲良くしないようにしたりしてね。」