プリテンダー
「婿養子…ですか?」

「そうだな。妻は会社の経営など自分にはできないから、ワシに会社を任せると。」

「そうなんですか…。ところで、うちのばあちゃんとは…。」

「私と修蔵ちゃんは幼馴染みなのよ。そのよしみでお屋敷にお勤めさせてもらってね。」

なんと…。

これまた意外な…。

「ところで…杏はなぜ急に戻ってきた?君は知っているんだろう?」

この様子だと、お祖父様は何も知らないんだ。

杏さんは何も言わなかったみたいだけど、この際だから会社で起こった事や、イチキの御曹司に言われた事も話してしまおう。

「実は…。」



それから僕は、事の一部始終をお祖父様に話した。

僕の作ったメニューが盗作されて有澤グループの会社から発売された事。

その騒動の責任を取る形で杏さんが自主退職を余儀なくされた事。

盗作の犯人はまだ特定されていない事。

確証はないが、僕の回りで気になる動きをしていた同僚がいた事。

その同僚が身なりのいい金持ちそうな男と一緒にいたのを目撃されている事。

杏さんがイチキの御曹司から聞いた、お祖父様からの伝言の内容。

< 211 / 232 >

この作品をシェア

pagetop