プリテンダー
「杏にちゃんと御飯食べさせてあげられるの、僕だけだもんね。」

「だったら章悟は…一生私から離れるわけにはいかないよ。」

「もちろん絶対に離さない。今度は僕が杏を残さず食べるから覚悟して。」

首筋に軽く口付けると、杏さんは恥ずかしそうに顔を覆った。

「ばっ…バカ…!!」

僕はその手を取って、真っ赤になった顔を覗き込む。

「せっかくのかわいい顔、隠しちゃダメだよ。僕は杏のそういう顔が大好きなんだから。」

頬にチュッと口付けると、杏さんはくすぐったそうに首をすくめた。

「……性格変わった?」

杏さんは戸惑っているみたいだ。

「どうかな?でももうプリテンダーはやめたんだ。これがホントの僕。だから杏も、これからは僕の前では強がらないで、ありのままの杏でいて。」

「そうする。じゃあ…もっと優しくして。」

「ホントは甘えん坊なんだ。」

「章悟にだけはね。」

「いいよ。これでもかってくらい優しくしてあげる。大好きだよ。」

優しく抱きしめて、何度も優しくキスをして。

僕はこの腕の中に杏さんがいる幸せを噛みしめた。



偽物の婚約者は、本物の恋人に。



自分を偽るのをやめた僕はもう、君しか要らない。


これからは一番そばで、他の誰も知らない君の素顔を見せて。





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