プリテンダー
いやいや、大丈夫じゃないだろ?

低血糖起こすって…もしかして杏さん…。

「杏さん、食事してないんですか?」

「ああ…買い置きのカロリーバーを切らしてしまってな。注文はしたんだが、配送に時間がかかるらしくて、今日は何も食べてない。」

「いやいや、カロリーバー以外の物を食べましょうよ!1階に行けばコンビニあるじゃないですか!」

「そうなんだけど面倒でな。そういえば、昨日も一昨日も面倒でほとんど食べてない。」

「昨日も一昨日も?!」

そりゃ低血糖も起こすよ!!

それに面倒でってなんだ?!

1階のコンビニに行くのが?

それとも食べること自体が面倒なのか?!

理解できない事は多すぎるが、とりあえず杏さんに食べさせるのが先だ。

「杏さん、これ食べてください。」

ラップで包んだおにぎりを差し出すと、杏さんは眉間にシワを寄せて首を横に振った。

「いや、いい。」

お腹すいて倒れそうになってるのに、なんでそこまで食べようとしないんだ?!

僕はなかば無理やり杏さんの手におにぎりを持たせた。

「食べなきゃダメです!!ワガママ言わずに食べなさい!!」

杏さんは驚いて目を大きく見開いた後、ラップを開いておずおずとおにぎりを口に運んだ。


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