プリテンダー
謝罪と償い


翌朝。

いっそのこと会社を休んでしまおうかとも思ったけど、社会人としてそんな無責任な事をするわけにもいかない。

僕は仕方なく起き上がって台所に立った。

夕べはいろいろ考えてなかなか眠れなかった。

渡部さんの事も原因のひとつだけど、やっぱり一番悩むのは杏さんの事だ。

恋愛経験がないということは、杏さんは初めてだったんだと思う。

シーツに血がついてたのがその証拠だ。

それなのに酔って自分のした事を覚えていないなんて…僕はバカか?

バカというよりは、むしろクズだ。

いや、クズというよりゲス過ぎる。

僕が美玖にフラれた事は、杏さんにはなんの関係もないのに。

八つ当たりもいいとこだろ。

ここはやっぱり、土下座でもなんでもして、素直に謝るほかない。

酔っていたとは言え、責任取れとか訴えてやるとか言われても仕方のないような事をしたのは僕なんだから。

何を言われても仕方ない。

覚悟を決めて謝罪しよう。



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