プリテンダー
ひとつため息をついて、ブロッコリーを箸でつまんで口に運ぶ。

ああ、そうだ。

一番最近会ったのは、美玖の誕生日だから…もう1ヶ月も前じゃないか。

どんなに忙しくても、こんなに会わなかった事は今までなかった気がする。

…美玖に避けられてるのかな?

この2年、それなりにうまくやってきたと思うんだけどな。

仕事の後とか休みの日とか、何度も美玖のために料理を作って一緒に食べたし。

たまには二人で遠出したり、記念日なんかも特別派手ではなくても大事にしてきたつもり。

僕は美玖の事が好きだし、美玖も“章悟といると落ち着く”っていつも言ってくれる。

誕生日は僕の部屋で、僕の作った料理を食べながらお酒を飲んで、朝までベッドで抱き合って一緒に過ごした。

美玖が前から欲しがっていたバッグをプレゼントしたら、とても喜んでいたし。

じゃあ…僕の気のせい?

やっぱり仕事で忙しいんだな。



定時が近付いても仕事が終わらず、仕方なく残業する事になった。

どうせ美玖との約束もなくなった事だし、まぁいいか。



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