血を喰らう鬼は赤く染まる桜。
あたしは母の後に続いて、列車を降りた。
後ろ姿を見上げる。
背が高い。
ぴったりしたジーンズも、似合ってる。
おしりのラインも、まだ垂れてないし。
(あたしも、もう少し身長のびるかな。)
あたしと、明子さんの間には、上手く言えないけど、微妙な溝がある。
…だけど、あたしは、なんだか母を嫌いになれない。
(中学生の間なら、まだ可能性あるかも。)
たぶん憧れているのだ。
不器用でも、一生懸命生きてきた母の姿を、たとえテレビや雑誌を通してだとしても、知っているから…。

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