血を喰らう鬼は赤く染まる桜。
鬼河原の駅は、小さな田舎町の駅にしては、ずいぶん新しくて大きい、立派な駅だった。
「うわぁ...ずいぶん変わった...。」
明子さんも、驚いていた。
14年ぶりの帰郷。
もちろん、あたしも母の故郷に来るのは、はじめてだ。
駅前のロータリーに出る。
近くに、大きな噴水があった。
そこで、ふたり荷物をおろして迎えを待った。
キレイに舗装された道路。公園。
だけどやっぱり、歩いている人は少ない。
太陽は柔らかな光をふりそそぎ、空気は澄んで、空は青かった。
(いーい、天、気...)
あたしは、ほっこり空を見上げた。
となりで、明子さんは熱心にケータイ電話を見つめてる。
「んー...さっき迎えにきてってメールしたんだけど。あと10分くらいで着くかな。」
「おばあちゃん?」
「...うん。」





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