血を喰らう鬼は赤く染まる桜。
明子さんは緊張しているようだった。
横顔は、長い髪に隠れて見えない。
14年ぶりの再会。
(おばあちゃんかあ…どんな人だろ。)
電話で、近況を報告したりする事はあったのだけど。
実際に会ったり、まして一緒に暮らすとなると、やっぱり感覚が違う。
(なんか、あたしまでドキドキしてきた。)
その時だった。
小さなオフホワイトの軽自動車が近づいてくる。
「あ。あれかな?」
明子さんは、ぶんぶん大きく手をふる。
軽自動車はロータリーをぐるりと回って、あたしたちの目の前で止まった。
車の窓がゆっくりと下がる。

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