血を喰らう鬼は赤く染まる桜。
おばあちゃんが運転する車で、あたし達はこれから暮らす家に向かった。
駅から車で、10分ほどかかるらしい。
駅前の商店街をぬける…といっても、シャッターがしまっている店の方が多いのだけれど。
すこし離れれば、あっというまに田園地帯が広がり、きれいに整備された道路と、見た事のある大型チェーン店ばかりが、ぽつぽつと連なっている。
(どこも、似たような風景だな…。)
さっき別れてきたばかりの、親友を思い出していた。
彼女は、母の所属する芸能事務所の養成所に、休日になると栃木から通っていた。
学校になじめずにいた、あたしにとって、彼女は救いだった。
彼女の実家に泊まりに行ったこともあったっけ。
(新しい学校…行きたくないな…。)
自然とため息がこぼれる。
母と祖母は、14年ぶりとは思えない位、自然な会話。
あたしは、その中でひとり、ただ黙っているだけ。
しばらくすると、窓に流れる景色の中、遠くにおおきな観覧車がみえた。
こんなところに、遊園地…?






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