血を喰らう鬼は赤く染まる桜。
車はしばらくすると、これから暮らす家に着いた。
本当に今まで暮らしてきたマンションとは180度違う。
昔ながらの日本家屋。
土地は広く、庭には家庭菜園らしきものがあった。
縁側もある。
年輪をかさねたのであろう大きな木も。
造りは平屋に近く、二階は明子さんが使っていた部屋だけがあるらしい。
おばあちゃんがいった。
「あんたの部屋、出て行ったときのままにしてあるわよ。」
明子さんはなぜか気恥ずかしそうだ。
軽く、唇をかむしぐさ。
瞳をそらす。
あたしたちは、とりあえず客間に通される。
そこには、新しく大きな仏壇があった。

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