血を喰らう鬼は赤く染まる桜。
そっと縁側に向かった窓を開けて、外をのぞいてみる。
そこには。
(雪...?)
違う。
それは。
(桜の...はなびら...。)
儚くも美しい光景だった。
はらり、はらりと小雪のように桜が舞って。
(すごい...きれい...)
あたしは、しばらくみとれていたけれど。
はなびらに、ふれたくて。
おもわず庭にでてしまった。
適当なサンダルひっかけて。
お気に入りの白いジャージ姿のまま。
お気に入りのシュシュで、前髪を頭のてっぺんであげてまとめてるから、マルチーズみたいな髪型になってる。
(だれもみてないし、いいでしょ...)
鈴の音は、止んでいた。







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