血を喰らう鬼は赤く染まる桜。
ふわり、と少女のウェーブがかった栗色の長い髪が揺れた。少年の細く美しい指が少女の白い背中を乱してる。
ふたりは、上半身の服だけを脱いでいて。
二人とも中学生...?
プリーツスカートの裾に、特徴的な二本の白いラインが入ってる。
あたしが、新しい学校で着る予定の制服と同じだ。
シルエットが重なる。
絡み合っている。
桜の大木の幹の上で。
「ん...あっ...」
少年が、少女の首筋に唇を埋めている。
少女は恍惚と、空を見上げてる。
せつない猫のような声を荒げて。
その後ろ姿を、あたしはみつめてる。
ぼんやりとした、月の光に包まれながら。









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