そして俺は、君の笑顔に恋をする
first day―始動:狙撃
◆
電車に揺られ、帰路についた黒瀬達。
まっすぐにマンションに向かわず、買い物をして帰るためショッピング街へ。
それまで緑豊かなど田舎に居たせいか人の多さが余計に目につく。
というか、多すぎて酔いそうだ。
その人込みに黒瀬が突っ込もうとしていたので、工藤は慌てて腕をひく。
「…何」
「……隣を歩いて。一人で行くな」
「でも」
「でもじゃない。人に紛れて襲われることはよくあることなんだ。離れてたら守れない」
今までにない有無を言わせぬ強い声に、黒瀬は体を強張らせて目を丸くする。
「……」
「ほら行くんだろ?」
「…ん。」
固まる黒瀬の背中を押し、工藤は隣を歩く。
今までにない工藤の行動に黒瀬は怪訝そうにちらちらと見上げた。
「なんだよ。俺の顔に何かついてるか」
「…べつに」
「ふっ変なの」
小さく笑う工藤の横顔を見て、黒瀬は黙り込む。
それから二人は無言で人混みの中を歩いていった。