そして俺は、君の笑顔に恋をする
...
爆弾は案外早く見つかった。
設置されていたのが警視庁内部だったからである。
灯台下暗しだったというわけだ
始まりの場所
それを聞いて、工藤が連想したのはここ警視庁だった。
『ブラックボックス』に関わった惨劇が始まったのは、ここで働いていた刑事である黒瀬の両親からだった
根拠はそれだけだったが、何も情報がない今工藤の案に乗るほかなく
時間もないので集まっていた刑事たち全員で一斉に捜索を開始、そして地下の一室でそれを見つけた
工藤が駆けつけると、そこにはすでに爆弾処理斑が到着して爆弾の解体を始めていた。
しかし
「おい、何だこの爆弾!?」
それは彼らの目にした事の無いものだった
(ああ……だから、俺が“カギ”なのか……)
「ちょっとどけ」
「はあっ!?な、何だね君!それに触れるんじゃない!!何か分かってないのか!!?」
突然現れた工藤に困惑する面々。
爆弾に手を伸ばそうとする彼を当然のごとく止めようと男たちは動くが、それを後からやって来た雪村と佐久間が間に入る。
「佐久間警視正!?」
「少し奴に時間をくれ、あれは工藤尋匡警部だ。爆弾が手に負えんのだろ、あいつならどうにかできるかもしれん」
「え、…で、ですが…」
尚も躊躇う爆弾処理犯の男たちを無視し、工藤は手袋をしながら爆弾の構造をのぞきみていた。
「……どうにかなるのかね、君」
怪訝そうに尋ねる処理犯の隊長らしき男をちらりと一瞥して、話し始める。
「ええ。俺はコレを作った男をよく知ってるんで。ん、この爆弾も…どうやらいつも通りみたいですね。十分もあれば解体できますよ。道具、借りれます?」
「あ、ああ…」
許可を得るとすぐさま工具を手に、慣れた様に配線を切り始めた。
それにしても手際がいい。
手を止めることなく、彼らには初見のそれを解体していく。
(表面的なトラップは彼らが解いたか…ったく、どんだけコードつなげりゃ気が済むんだあいつ。毎度毎度手がつかれるわ)
配線を切ってはつなげを繰り返さなきゃいけないのが、九条の爆弾の一つ目の特徴。
そのたびにちょっとイライラする。
一つでも間違えば即爆発だが、工藤の頭の中には一目見ればすぐに爆弾の図面が敷かれる為ここはまったく問題ない。
神経はすり減らすが。
場所が地下の為若干暗く、ペンライトを口で噛み手元を照らしながら一人でもくもく作業を続けた。