すべてが思い出になる前に
「ズボンはすぐに洗うから、洗濯機の中に入れて!ズボンは取り敢えずこれを履いておいて!」
涼太が手渡したズボンを履いた翼は、やっと落ち着きを取り戻した。
「そっか…照史が結婚かぁ。25歳だからもうそんな時期なんだな」
幼馴染で1番最初に結婚する事になった照史。とても嬉しいはずなのに、どこか浮かない様子の涼太。
「結婚を決意するって凄い勇気がいるよな。家族も増えるだろうし、責任も重くなる」
「そうだな。結婚が最後じゃなくてスタートだからな。あと、式と披露宴は来年の春頃にしようと思ってる」
「へぇ、平日だけは辞めてくれよ」
「分かってるって、土日にしておくよ」