すべてが思い出になる前に
6) 動き出す砂時計
数日後、研究室の自分のデスクで分析を行なっていた。
「宮﨑、さっき学生が封筒持ってきたぞ」
先輩の松藤さんから茶封筒を受け取り、宛名には【宮﨑 涼太 様】と書かれていた。
「ありがとうございます」
「そういえば、宮﨑って何部だったっけ?」
「テニス部です」
「あぁ〜確かにテニスっぽいな‼︎」
松藤さんと2人で部活の話を始めて、近くで聞いていた同期の富永が割入ってきた。
「松藤さん、宮﨑くんは高校、大学のダブルスで優勝してるんですよ!」
「宮﨑、そうなのか⁈」
「はい」
「じゃあプロとかなれたんじゃないか?」
「まぁ…本気で目指してたんですけど、大学の時に怪我をしたので」
表情は何1つ変えずに淡々と涼太は質問に答えた。