すべてが思い出になる前に
「またまた〜、1人だと寂しいでしょ?そうだ、学会のついでに観光もしようぜ‼︎」
「観光って…遊びに行くんじゃないからさ」
「たまには研究の息抜きもしないと‼︎」
鴨川は涼太の両肩をマッサージし始めて、戸惑う涼太を他所に、発表をしない鴨川は余裕で緊張感が全く無いせいか、楽しそうに笑っていた。
研究チームとはまた別に自分で論文を書いたり、仕事を頼まれたりと予想以上にかなりハードな仕事量の為、同期は富永と鴨川しかいない。
毎日研究室にこもり、日を越して家に帰るという往復の日々を送っている。
数年前まではテニス一筋の生活だったが、こんな風に変わってしまうんだなと晩酌しながら思う時がある。