すべてが思い出になる前に




夜の23:30頃、大学の研究室から家に戻ると玄関の前でしゃがみ込んでいる人を見つけた。


恐る恐る近付いて、肩を軽くトントン叩いた。



「ここで何してるんですか?」



人の家の前でしゃがみ込まれても、邪魔でしょうがない。そう思っていた時だった。


その人がバタッと横に倒れてしまった。よく顔を近づけ確認をすると、深くため息をついた。



「翼、こんなところで寝るな‼︎」



横に倒れてイビキをかきながら寝ていたのは、なんと翼だったのだ。



とりあえず玄関を開ける為に、1度翼の両脇を後ろから掴み、引きずって家の中に入れた。



「家に来るなら連絡ぐらいしろよ、もっと早く帰って来たのに」



そう1人で呟き、クスクス笑いながら翼の額にデコピンを1発かましてやった。





< 124 / 369 >

この作品をシェア

pagetop