すべてが思い出になる前に
涼太は真っ先に家に帰り、ドアノブを回して閉まっているはずの鍵が開いていた。
「涼太、おかえり〜」
リビングから翼が出て来た。
「まだいたのか⁈実家に帰らなかったのか?」
「うん…涼太に話があってさ」
「まぁ座れよ」とリビングの床に座り胡座をかいて向き合う2人。
「話って何だよ」
「単刀直入に言うけど、友理奈が今どうしてるか、お前知りたいか?」
「何だよ急に⁈」
「知りたいかって聞いてるんだよ‼︎」
いつになく真剣な目で、ムキになる翼を目の当たりにした涼太は終始戸惑っていた。