すべてが思い出になる前に
涼太は一度冷静になり、その場から立ち上がり台所の方へ歩いていく。
「今更知ってどうするんだよ。あいつの事だし、好きな事してるんじゃないか?」
「なぁ心配じゃないのかよ、ずっと連絡もない訳だしさ」
「心配しててもしょうがないだろ。元気にやってるならそれだけでいいよ」
どれだけ心配したところで、友理奈は出てこない。悩めば悩むほど身がもたない。
高校の時までは一番近い存在だったかもしれない。でも今では一番近くて、一番遠い存在になった。
ただの幼馴染でそれ以上のそれ以下でもない。
友理奈の事を忘れようとしても、心の片隅に留めていた思い出が蘇ってくる。