すべてが思い出になる前に




学会前日、朝8:00


目覚ましが大音量で鳴り響き、腕を伸ばしてアラームを止めた涼太は、時計を見るや否や飛び起きた。



「やっべ、もうこんな時間だ‼︎」



急いでズボンに両足を通し、ハンガーにかけていた白いシャツを羽織り、ベルトを締めながら洗面所へ向かった。


洗顔、歯磨きをしながらネクタイを締め、スーツのジャケットを腕に掛けて鞄を持って玄関を出て行った。



電車に揺られながら、チラチラと腕時計を気にしていた。


ズボンのポケットに入れていた携帯が震え始め、画面を見ると鴨川から着信が来ていた。



「今、電車の中だから出れないって」



空港で降りてすぐに掛け直そうと思い、着信をブチっと消した。





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