すべてが思い出になる前に
涼太は急いでジャケットの内側ポケットから名刺入れを取り出した。
「いつでもいいから連絡くれ。みんな心配してたぞ。じゃあ行くから…」
連絡先が書かれた名刺を友理奈に手渡し、受け取ったのを確認して鴨川が待つ搭乗入口へと走って向かった。
涼太を見届けた友理奈は受け取った名刺をじっと見て、涼太の去り際を見届けた。
「遅いぞ‼︎自分で集合時間決めておいて遅刻するってどういうことだよ‼︎」
「悪い‼︎」
飛行機に乗り込みながら鴨川は、遠くから見かけた事を涼太に聞いてきた。