すべてが思い出になる前に





翌日、学会当日


会場には沢山の薬剤師やその他の医療関係者などが来ているのを目の当たりにし、緊張からから少し手の震えがした。


涼太の番が来て、登壇に立ちながら後ろのスクリーンには自分の論文の内容、手元には資料と原稿を置いて、只々必死に発表と質疑応答に答えるのであった。



自分の番を終えた涼太は、会場を後にして外の空気を吸いに出た。



「お疲れ、発表よかったよ」



鴨川が声をかけてきた。振り返った涼太は安堵の笑みを浮かべた。



「めっちゃ緊張した〜。しかも質問があまり難しくなくてさ、本当に良かったよ」


「宮﨑は緊張とかしなさそうだからさ、なんか意外だな」


「そうか?多少は緊張するよ」



涼太は苦笑いを浮かべて視線を逸らした。





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