すべてが思い出になる前に






「質疑応答でもし答えれなかったら、『分からないので調べて来ます』って俺は言うけどな」


「自分が書いた論文が分からなかったら、そりゃマズいだろ‼︎」


「まぁ…確かにそうだな‼︎」



2人でクスクス笑いあった。



「よし、学会終わったらさ美味しい飯でも食いに行こうよ!」


「そうだな」



鴨川に肩を叩かれ、2人は学会会場へ戻って行った。




その頃、友理奈は仕事を終えてロッカールームへ入り、ロッカーをガチャっと開けた。


胸ポケットに入れていた涼太の名刺を取り出して連絡先が書かれた裏面にひっくり返した。



大学に入学して以降、幼馴染に姿を見せていなかった理由を伝えようとして、携帯を取り出した。





< 147 / 369 >

この作品をシェア

pagetop