すべてが思い出になる前に





学会を終え、日が暮れた頃。鴨川と2人で駅近くの京料理のお店に入っていた。



席に着いて、食事の注文待ちをしている間にふと涼太が深く溜息をついた。



「何だよ、溜め息なんかついてさ」


「やっと緊張から解放されて、今すぐにでも寝れそうだよ」


「そうだな。学会までずっと研究と論文に追われてたからな。たまには息抜きも必要だな」



料理がテーブルの上に並び、食べている最中だった。


マナーモードにしていた携帯がブルっと一瞬震えたのに気付いた涼太は、箸を止めてポケットに手を入れた。


メールボックスには見覚えのないメアドからのメールが1通届いていた。


メールを開くと、そこにはこう書かれていた。







< 148 / 369 >

この作品をシェア

pagetop