すべてが思い出になる前に
学会を終え、日が暮れた頃。鴨川と2人で駅近くの京料理のお店に入っていた。
席に着いて、食事の注文待ちをしている間にふと涼太が深く溜息をついた。
「何だよ、溜め息なんかついてさ」
「やっと緊張から解放されて、今すぐにでも寝れそうだよ」
「そうだな。学会までずっと研究と論文に追われてたからな。たまには息抜きも必要だな」
料理がテーブルの上に並び、食べている最中だった。
マナーモードにしていた携帯がブルっと一瞬震えたのに気付いた涼太は、箸を止めてポケットに手を入れた。
メールボックスには見覚えのないメアドからのメールが1通届いていた。
メールを開くと、そこにはこう書かれていた。