すべてが思い出になる前に




「懐かしいね‼︎あぁ学生時代に戻りたいな〜。あの頃が一番楽しかったもん」



昔なら、勉強したくないから早く大人になって働きたいとか言ってたけれど、今ではその逆だ。



「次に会えるのは、照史の結婚式だね」



友理奈がボソッと呟いた時に、電車が勢い良く目の前にやって来た。乗り込んですぐに振り返った友理奈は笑顔で手を振った。



この名残惜しい気持ちは何だろう。



8年ぶりに会ってポッカリと空いてしまった穴を埋め始めようとしたが、距離が縮まることは無かった。


手を離した時には、既に遅いんだと身を以て知ることになるとは、昔では考えられなかっただろう。







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