すべてが思い出になる前に
数日後、1人でスポーツジムへ。
ベンチプレスのマシンに寝転がり、しっかりと両足を踏ん張ってからバーベルを持ち上げ、ゆっくりと胸の上にバーベルをおろし、胸についたらまたゆっくりと押し上げた。
一呼吸置いていると、頭上から顔を覗き込まれた。
「おっ、頑張ってるな‼︎」
その声は、照史だった。涼太は、バーベルを戻して、ムクッと起き上がった。
照史も同じジムを利用していた。
「1人で筋トレとか寂しいだろ?今度から誘ってよ」
「あぁ分かった!」
涼太は流れた汗をスポーツタオルで拭った。
「腕は大丈夫なのか?」
右腕を気にする照史に対して、涼太はタオルを肩にかけながらクスッと笑った。