すべてが思い出になる前に
そんな重い雰囲気を変えたのは友理奈だった。
「涼太は怪我が治って元気なんだから、それで良いじゃん。辛い過去を振り返っても良いことないよ?」
そう言い切った友理奈はクシャッと笑った。
「そうだな。みんなには前に言ったと思うけど、もう俺の腕は治ってるから遠慮なんていらない」
うんと頷く4人にハニカミながら話す涼太は、目の前にいる翼に声をかけた。
「なぁ、翼。今度アメリカ仕込みのテニス、俺に教えてよ」
「おぅ‼︎やるからには容赦しねーからな‼︎」
翼はニッと口角を上げて笑い、お互いの拳をぶつけ合った。