すべてが思い出になる前に
涼太からブーケを受け取った友理奈は、花を近距離で見始める。
「へぇ〜、よく見たらピンク色のチューリップなんだね‼︎」
色ごとに「愛」にまつわる花言葉を持ち、さまざまな色の花を咲かせるチューリップ。
赤いチューリップの花言葉は「愛の告白」、紫は「永遠の愛」、ピンクは「誠実な愛」
結婚式の花嫁の幸せの象徴とされるブーケには最適な花だ。
友理奈はチューリップの花をじっくり見ながら微笑んでいた表情が一変し、何かを考え始めた。
「ねぇ、さっき涼太は幸せのお裾分けって言ってたよね?」
「あぁ、それがどうかしたか?」
何を考えているか全く分からない涼太を他所に、友理奈は花束に視線を移した。