すべてが思い出になる前に
友理奈はチューリップの花束から一輪抜き取り、涼太の胸元のポケットに挿した。
「よし、これでお裾分けね♪1本なら飾れるでしょ?」
友理奈はクシャッとした笑顔を見せた。
駅前で友理奈は立ち止まり、3人に手を振った。
「じゃあみんなまた会おうね!バイバイ‼︎」
後ろを振り返ることなく、駅の方へ消えていく友理奈の後ろ姿を見届けていた涼太は、不意打ちに両肩を叩かれた。
「ちょっと涼太、何で友理奈にブーケをあげたの?」
意味深発言をする茜は、怪しげな笑みを浮かべながら問いかけて来た。