すべてが思い出になる前に
「おはよう、昨日あの後ちゃんと寝たのか?」
『あぁ、2時に帰ったから4時間ぐらいしか寝てないや』
笑みを見せ、前の席から回ってきたプリントを後ろの席の人に手渡していた時だった。
そのプリントに記載されていた【堤】という苗字に目が止まった。
連絡が取れなくなった友人と同じ苗字だったからだ。
最後に会ったあの日、どうして引き止めなかったのか。
あの時、あぁしてたらよかったなという後悔が幾つも出てくる。
そんな後悔を今更してもすでに遅い。
人生の砂時計はひたすら進んでいき、もう元には戻れない。
【 人生は一度きりしか無い。】