すべてが思い出になる前に
よく食べてお酒が進んでいた友理奈だったが、いつになく様子がおかしかった。
「最近、なんかあったの?」
思いがけない言葉を掛けられた友理奈は、手が止まった。
図星なのか…
悩み事や落ち込んでいる時にとても食欲旺盛になる傾向がある。
必死に隠している友理奈だか、至って分かりやすいところがある。
「やっぱり涼太には敵わないな…ねぇ聞いてくれる?」
うんと頷く涼太に、友理奈は正面に座り直した。
「私、彼氏と別れたの。別れたっていうか振られたんだけどね」
「そうなんだ、でもどうして?」
右手に持っている缶ビールを見つめながら友理奈は過去を振り返った。