すべてが思い出になる前に





よく食べてお酒が進んでいた友理奈だったが、いつになく様子がおかしかった。



「最近、なんかあったの?」



思いがけない言葉を掛けられた友理奈は、手が止まった。



図星なのか…



悩み事や落ち込んでいる時にとても食欲旺盛になる傾向がある。


必死に隠している友理奈だか、至って分かりやすいところがある。




「やっぱり涼太には敵わないな…ねぇ聞いてくれる?」



うんと頷く涼太に、友理奈は正面に座り直した。



「私、彼氏と別れたの。別れたっていうか振られたんだけどね」


「そうなんだ、でもどうして?」



右手に持っている缶ビールを見つめながら友理奈は過去を振り返った。





< 204 / 369 >

この作品をシェア

pagetop