すべてが思い出になる前に
「大学時代のサークルの先輩と付き合ってたの。大人でバリバリの商社マンだった。私は彼に合わせて無理ばかりしてた。必死に背伸びして聞き分けのいい大人のフリをしてた」
「うん、それで?」
「その結果、彼から『しっかりしてるから1人で生きて行けそうだね』って言われた後、パタッと連絡が来なくなって…。久々に私から連絡したら『自然消滅したのかと思った』ってメールが来た瞬間、もう彼の中に私は居ないんだなって思った。
私は彼に釣り合うようにって思ってたら、しっかりしすぎたのかもしれない」
友理奈は話し終えた後、缶ビールをテーブルに置いて隣で聞いている涼太の方に振り向いた。