すべてが思い出になる前に
「もう11時だ、明日も早くから仕事だろ?駅まで送るよ」
「いいよ、駅まで近いし1人で…」
「夜1人で出歩くのは危ないだろ、いいから行くぞ」
涼太はコートを羽織り始める、見るに見かねた友理奈もバックを持って立ち上がった。
駅までの夜道を2人で歩いていると、友理奈が真っ直ぐ前を向いたまま話し始めた。
「今日はありがとう、ついでに私の話も聞いてくれて」
「あぁ。なぁ友理奈…俺に出来ることがあれば何でも言えよ」
「うん、ありがとう。さすが幼馴染‼︎何かあったら1番に相談する」
友理奈が言った”幼馴染”というたった一言が、涼太の胸のどこかに突き刺さった。