すべてが思い出になる前に
駅前の改札口に着くと友理奈は「じゃあね」と手を振った。
友理奈が改札口の方へ歩き始めた途端、涼太は思わず声をかけた。
「友理奈‼︎」
名前を呼ばれ振り返った友理奈は「何?」と返事をした。
涼太は言おうと思ったことがあったが思い留まって「やっぱいいや」と言い、手を振って友理奈を見送った。
手を振っていた腕を下ろし、さてと…家に戻って片付けしようかなと思った時だった。
涼太の背後から1人の男性が近づいて来て、手で両目を隠した。
「だーれだ⁈」
いきなり両目を隠されビックリした涼太だったが、犯人で思い当たる人が1人しかいなかった。