すべてが思い出になる前に





電車に乗っている間、友理奈がボソッと呟いた。



「やっぱりこのメンバーだと落ち着くなぁ」


「そりゃそーだろ‼︎何年一緒にいると思ってんだよ。」


「また何かあればちゃんと報告してくれよ‼︎」


「はーい‼︎」



友理奈は右手を肩の高さに挙げて返事をした後、思い出したかの様に涼太に声をかけた。



「テニスの試合とかないの?応援しにいくよ?」


「本当に来るのか?まぁ…その時はまた連絡するよ」


「約束だよ‼︎」



電車を降りてホームを出た後、「またね」と手を振ってそれぞれの実家へ帰って行った。



高校が別々になってしまったからこそ、久々に会って集まれば凄く楽しく感じる。


こうやって【会おうと思えばいつでも会える】とこの時までは思っていた。でもやはり現実的にはそうはいかなかった。





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