すべてが思い出になる前に





「私が病院に行った日に薬局にいた薬剤師さんが、もうそれはそれは超絶イケメンだったんですよ‼︎顔がこんなに小さくて、スラッと背が高くて、キリッと凛々しくて、清潔感のある爽やかで。真っ直ぐな目で私を見るもんだから、こっちまでドキドキしちゃって」




友理奈は頬杖をつきながら話を聞き、元倉に尋ねる。



「そんなにイケメンだと、もう原石ではなくて完成しちゃってるような…。まぁいいや、そのイケメンの名前はちゃんと確認したの?」


「それが見えなかったんですよね…」



元倉は顔を横に振り、残念そうに肩を下ろしてコーヒーを飲み始めた。


元倉が言うドキドキってなんなのだろう。



「真っ直ぐな目で見るもんだから…」と照れながら話す元倉を見て、少し羨ましくなる友理奈だった。







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