すべてが思い出になる前に
「うん、どうしたの?」
照史から電話を掛けてくるなんて珍しいと思いながら、電話に耳を傾ける。
「あのさ…」
照史の話を聞いていると、思わず友理奈は「えっ⁉︎」と声を出した。
〜
友理奈の電話から数時間後、研究を切り上げ大学の研究室を出た涼太は、一階の売店で昼御飯を買っていた。
「宮﨑、学食で食べないのか?」
背後から鴨川が声を掛けてきて、肩に手を置かれた。
「あぁ、研究進んでないからまた教授に呼ばれそうだよ」
「俺もだ。1人で教授室に行くの嫌だから着いてきてよ」
「何でだよ、1人で行けよ」
2人してクスクス笑いながらパンと缶コーヒーを手にレジに並んでいると、鴨川が弁当を渡してきた。