すべてが思い出になる前に
「考え事?」
「うん。彼氏と別れてもう半年近く経つけど、時々思う事があって。お互い会わないうちにこうやって少しずつ楽しかった思い出や自分の存在さえ忘れてしまうのかなって。別に別れた事を後悔してるわけじゃないんだけどね…」
隣に座った涼太は友理奈の話しをただ黙って聞いていたが、一つだけ言える事があった。
「少なくとも俺は忘れなかったよ」
そんなそこらの人間とは違い、たった1、2年で簡単に忘れるような浅い関係じゃない。
明るく照らす太陽を失っていたあの頃には決して戻りたくない。
例えまた消えようとしても、自分の手で必ず見つけ出す。