すべてが思い出になる前に
カフェを急いで出た茜は、歩道を早歩きしながら現場に向かっていたが、やはりさっきの話で自分の中で納得しないところがあった。
意地悪で言ったわけじゃない。寧ろ、自分の気持ちを確かめて欲しいと思ったから。
茜は薄々と感じていた。2人が”両想い”ではないかと。
でも今の関係を壊したくない。勿論、友達として幼馴染として好きなのは翼や照史もみんな一緒の気持ちだ。
このままずっと異性として好きだという気持ちを隠し続けるのだろうか。
私なら絶対そんなことしない。片想いは長くなればなるほど辛くなる。
友理奈の事をそう捉えた茜は、なぜ自分が頭を悩ませているのかが不思議でたまらなかった。