すべてが思い出になる前に
友理奈もまたカフェを後にして街を歩いていると、目線の先に道路案内の看板が目に入った。
この近辺に涼太がいる大学がある事に気付き、自然と大学の方へ足が動き始めた。
大学の正門に着いて立ち止まった友理奈は、周りを見渡してキャンパス内に入って行った。
涼太から貰った名刺を頼りに、校舎内の渡り廊下を歩いていると、白衣を着た女性とすれ違った。
「あのすみません、薬学研究科はこっちで合ってますか?」
「はいそうですけど、どなたかお探しですか?」
「宮﨑涼太を…」
「宮﨑くんですね」
白衣を着た女性は手に持っていた手帳を確認し始めた。