すべてが思い出になる前に
ホールケーキには長めのロウソクが2本、短めのロウソクが6本に火が灯して立っていた。
『涼太、お誕生日おめでとう‼︎』
「ほら、早く火を消してよ!」
茜に急かされた涼太は、目の前にあるケーキに立つロウソクの火を一気に吹き消した。
「もう26歳か、早いな〜」
照史がしみじみと語り、翼や茜が同感する様にうんうんと頷いた。
ケーキをお皿に注ぎ分けていた友理奈は、涼太に手渡した。
「涼太はフルーツタルト好きだったよね」
「よく分かってるな」
「当たり前でしょ、何年一緒にいると思ってるの?」
ショートケーキやチョコレートケーキなどの生クリーム系が苦手な事を、友理奈は覚えていた。