すべてが思い出になる前に





「友理奈、どうしたの?」



翼が呼び止めたが友理奈は答える事なく、そのまま涼太の家を飛び出して行った。


翼達はベランダにいる涼太の元へ駆け寄った。



「友理奈と何かあったのか?」



翼が涼太に声をかけ、手に持っていた友理奈からのプレゼントを目にした翼は、これが原因だと察した。



「言ったら怒られるかもしれないけど…、友理奈が俺の店で一目見て気に入った靴を、涼太の誕生日にプレゼントしたいって。仕事で忙しい涼太に会えるキッカケを作りたかったと思う。友理奈がこの日を誰よりも楽しみにしてたんだぞ‼︎」



いつになく真剣に話す翼に、涼太は動揺する事なく冷静に聞いていた。





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