すべてが思い出になる前に
「誤解してるのはどっちだよ‼︎」
翼や照史、茜の目の前で涼太はいつになく大きな声で放った。
「照史から聞いたんだよ、涼太がまたテニスを始めようかなって言ってた事を」
翼は涼太に説得をして、納得したのか表情が和らいできた。
「そうだったんだな。テニスを始めるにしても大学の時に使ってた靴は滑るから、ちょうど買おうとしていたところだったんだ。それで友理奈から貰った瞬間、欲しかった物が目の前にあって嬉しくて驚いて言葉にならなかっただけなのに、『何も分かってない』って何なんだよ‼︎」
涼太の話を聞いていた茜は、真っ直ぐな目で涼太に声をかけた。